男性型脱毛症(AGA)診療ガイドライン
日本皮膚科学会は、2010年4月に行われた同学会総会で、日本における脱毛症のガイドライン策定はこれが初めてとなる
「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)」を発表しました。
ガイドライン策定委員長の坪井良治氏(東京医科大学皮膚科教授)は、「市販の育毛剤が数多く普及し、育毛サロンなども増えている。薄毛関連の市場は1000億円ともいわれるが、科学的根拠に基づかない治療法も横行している。
学会としてもこうした状況を無視できず、日本の実情に合ったガイドラインの策定が必要と判断した」と説明しています。
ガイドラインでは検証結果を、有効性やエビデンス(文献などによる科学的根拠)の良質さに基づいて5段階の推奨度で評価しています。
5段階では、
「A=強く勧められる」
「B=勧められる」
「C1=考慮しても良いが、十分な根拠が無い」
「C2=根拠が無いので勧められない」
「D=治療法として行わないように勧められる」
の5つに分類されています。
治療に使用されている薬効成分のうち「A」に分類されたのは、ミノキシジル(外用)とフィナステリド(内服)です。
ただし、フィナステリドは、更年期以降の女性で無効性が確認されたため、また妊娠中にプロペシア錠を内服すると男性胎児の外性器に異状を生じる可能性があるため、女性では「D」に分類されます。
医薬部外品・化粧品育毛剤(全て外用)の塩化カルプロニウム、t-フラバノン、アデノシン、サイトプリン、ペンタデカン、ケトコナゾールはいずれも「C1」に、セファランチンは「C2」に分類されています。
植毛術については、自分の毛髪を移植する自毛植毛は「B」ですが、化学繊維を使った人工毛植毛は感染症や頭皮のかゆみを訴える症例報告が多く、「D」に分類されています。
上記の内服薬や外用薬と自毛植毛を同列に論じることには多少の無理がありますが、いずれにしても市場に氾濫している、臨床効果のエビデンスが明確でない育毛・発毛剤や怪しげな育毛サロンに対する警鐘として、一石を投じたことになるでしょう。
ちなみにガイドラインによると、男性の場合は5%のミノキシジルの外用とフィナステリドの内服を、また女性の場合は1%のミノキシジルの外用を1年間続けて満足がいかない場合は、十分な経験と技術を有する医師が行うことを前提とした”自毛植毛”や”カツラ”の使用を勧めています。









